MDR・IVDR規制の状況、欧州市場参入の魅力
米国大使館セミナー 事前インタビュー:F.Tóth András 氏 (QTICS Group)
8/21/2024
2024年9月6日に、グロービッツ主催、在日米国大使館後援の「第11回米国医療機器進出セミナー」が開催されます。そこにゲストスピーカーとして、欧州の医療機器コンサルティング会社であるQTICS Groupより、F.Tóth András 氏を招待し、米国進出にも役立つ、欧州市場や規制についての解説を行っていただきます。それに先立ち、Andras氏への事前インタビューを行いました。QTICS Groupのサポート内容、MDR・IVDR規制の状況、欧州市場参入の魅力等についてお話しいただきましたので、ぜひご覧ください。
9月6日のセミナーでは、Andras氏にさらに詳しい内容でご講演いただき、セミナー後のネットワーキングイベントでも直接お話しいただけます。翌週9月9日にはEU市場参入を検討されている企業様との個別面談も実施予定です。詳細は当ページの最下部をご確認ください。
グロービッツ:まずはQticsが提供している、医療機器メーカー向けのサービスをご紹介頂けますか?
Qtics:QTICS Gruopは3年前に設立され、 オートモーティブ、エネルギー産業、IoTデバイス、メディカルの4つの主要部門があり、各部門で幅広いサービスを提供し、評価を受けています。メディカル部門では、CEマークの取得を希望する医療機器メーカー向けに複数の会社と協力し、EU域内で医療機器製品を販売するためのインテリジェント・サービス・パッケージを開発しました。私たちは欧州市場での成功を目指す、世界中のあらゆる医療機器メーカーをサポートしています。欧州で医療機器を販売する際は、欧州の規制や欧州規格、国際規格による要件を満たす必要がありますが、QTICS Medicalは8社で構成されており、規制、品質マネジメント、前臨床試験、臨床バリデーションなど、医療機器の認証取得に必要なすべてのプロセスを網羅しています。
これらの8社はQTICSメディカルがコーディネートし、各社が連携することで、ユニークな統合サービスパッケージを提供しています。QTICSのワンストップサポート体制には、規制に関するコンサルティングチーム(SAASCO)があり、技術文書や品質マネジメントシステムのレビューや作成といった支援をしています。技術文書には様々な試験結果を含める必要がありますが、私たちには前臨床段階で3つのラボがあり、安全性試験はConformitics Lab、サイバーセキュリティ評価はCCLab、生体適合性試験はToxi-Coopで行っています。要求に基づき、異なるデバイスには異なる試験が必要となるため、当社のコンサルティングチームが適切な試験の選定をサポートしています。
前臨床段階を終えた後は、臨床バリデーションが実施されます。この段階では、あらゆる臨床試験について30年の経験を持つ臨床試験施設、Drug Research Centerと協力しています。メーカーがマネジメントシステム認証を必要とする場合には、当社のメンバーであるTAMCertが、医療機器メーカー向けにISO 9001およびISO 13485認証を提供します。さらに私たちはエンジニアリング部門もあります。PCB Designは組込みソフトウェアとPCB開発に取り組んでおり、BrightHillsは医療用ソフトウェアの開発とテストサービスを提供しています。
グロービッツ:国内外や規模感などの観点から、どのようなクライアントが多いのでしょうか。
Qtics:初めは主にハンガリーの中小規模の医療機器メーカーとの取引が中心でしたが、最近は国外企業からの依頼が増えており、ドイツ、韓国、日本、中国のクライアントからの依頼もあります。EU内では、メーカーに対する規制や要件が同じです。私たちは、国内外問わず、すべての規模、タイプの企業に対応することができますし、今後は日本企業向けにも多くのサービスを提供したいと考えています。あらゆるタイプのMDRやIVDR対象のデバイスを網羅しているため、欧州市場で製品を販売したいと考えている企業であれば、スタートアップ、中堅企業、大企業を問いません。
グロービッツ:MDRやIVDRの改訂について、企業の対応は追いついているのでしょうか?
Qtics:これは非常に大きなテーマであり、このテーマだけで単独のインタビューが必要になるくらいです。EUでは7年前におそらく最も厳しい法規制を導入し、この状況はメーカーにとって新しいことではないでのすが、この規制の枠組みは非常に複雑で、多くのメーカーは最新の情報に追いつけていないのが実情です。この「要件の海」とも呼べる中で、メーカーを支援し導くことが私たちの仕事の大きな役割であり、その意味では、欧州でも他の世界的な産業でも大きな違いはありません。要件は厳しく、多くの時間と適切な財源が必要になります。このEUの規制のゴールは、ユーザーが安全で性能の良いデバイスだけを使用できるような規制の枠組みを作ることでした。欧州では、規制が厳しくなりすぎたという議論が延々と続いていますが、メーカーは受け入れ、それに従って行動するしかないのが現状です。これはレガシーデバイス、つまりすでに承認を受けていた既存のデバイスにも当てはまりますし、これから欧州で新規で販売されるデバイスにも当てはまります。
グロービッツ:MDRが更新されたことで、MDRへの対応がより難しくなったと考え、EU市場への挑戦をためらっている日本企業も多いと思います。何かコメントやアドバイスはありますか?
Qtics:重要なポイントは、欧州市場が依然として世界の中で最も大きな市場の一つであるということだと思います。欧州市場に参入すれば、4億人の消費者にアクセスできる可能性があります。そして、確かに要件は厳しくなっていますが、CE認証がEU圏外の多くの地域において市場へのゲートウェイ・パスであることも忘れてはいけません。MDR CE認証を取得すれば、多くの潜在顧客にリーチできるということは間違いないのです。この複雑な要求事項をクリアするためのお手伝いをすることが、QTICSメディカルの仕事です。すべてのタスクを行うにはもちろん時間と費用がかかりますが、実現可能です。9月6日の米国大使館セミナーで私が行うプレゼンテーションでは、明確なガイドラインがあり、中堅企業や大企業、また中小企業であってもこのプロセスを成功裏に進められるということを強調したいと考えています。QTICSメディカルがサポートした技術ファイルに基づいて、ノーティファイド・ボディが認証書を発行することを保証できます。適切に準備された技術ファイルが、認証プロセスと市場投入までの時間を短縮する鍵となります。
グロービッツ:EU市場に参入する際、FDAの承認があると有利になることはありますか。
Qtics:これまでの経験から、医療機器メーカーがEU市場への参入を検討あるいは参入する場合、FDAの承認がある方が明らかに有利と言えます。いくつかのポイントを挙げますと、まずは、品質マネジメントシステムの要求事項は非常に類似しており、まもなくほぼ同じになる見込みであるという点です。つまり、すでに米国市場に進出しているメーカーがEU市場に参入する際に、新たに品質管理システムを構築する必要はないということです。次に、前臨床試験や臨床試験、バリデーションに関する国際基準は同等であるため、ほとんどの場合、これらの試験を再度実施する必要はありません。3つめのポイントは、市場アクセスの違いです。すでに米国市場に参入しているメーカーが、巨大なEU市場に進出するのは比較的容易だと思われます。先ほど説明したように、適合手続きはそれほど簡単ではありませんが、その後のプロセスはより簡単で迅速になると思います。さらに重要な点は、技術ファイルの作成方法に多くの共通点があるということです。国際医療機器規制フォーラム(imdrf.org)がこの件に取り組んでいるのですが、メーカーはこのウェブサイトで、欧州の要求事項の下で選択されたノーティファイド・ボディに、ほとんどのクラスで提出を求められる技術ファイルの要求事項における類似点や相違点を確認することができます。QTICSメディカルは、適切なノーティファイド・ボディの選定のお手伝いも可能です。
グロービッツ:他にセミナーではどのようなお話をされる予定ですか?
Qutics:QUTICSメディカルにとって、日本の医療機器メーカーの皆様に幅広いサービス構造をご紹介する良い機会と考えています。9/6に実施する個別面談とプレゼンテーションが、先進的で競争が激しくも、多くの新しいビジネスチャンスが広がる欧州市場への参入を検討するきっかけとなることを願っています。あらゆる質問にお答えしますし、起こりうる課題や専門的な相談についてもお話しします。私たちのサービス内容やプロジェクトをご紹介し、できるだけ多くの医療機器規制対応に関する議論ができることを楽しみにしています。ぜひ、多くの企業の皆様にこの機会を活用して頂き、直接お会いできることを願っています。
グロービッツ主催、米国大使館後援「米国進出セミナー」
- 日程: 2024年9月6日(金) 15:00~17:00(17:00~18:00 ネットワーキングイベント)
- 場所: グロービッツジャパン 東京事務所(大手町)
- 言語:日本語、英語
- 日程: 2024年9月9日(月) 8:00~16:00の間で1時間ほど
- 場所: グロービッツジャパン 東京事務所(大手町)
- 言語:英語(弊社社員も同席し、日本語でサポートいたします。)
※遠方にお住まいで対面でのご面談が難しい場合は、オンラインでのご面談も設定可能です。