インタビュー「米国FDA規制の概要と米国進出のポイント」
(株)グロービッツ代表 春山貴広
健康産業新聞 2018年2月21日号掲載
アメリカFDA規制への対応
サプリメント製品に対する規制は日本同様、政府により厳しくコントロールされている。輸出に際し、ルールが分かれば対応の仕方も明確になるが、英語で各種規制を理解する難しさや、FDAへの問い合わせや申請書作成など、日本からの対応では効率が悪く、さらに間違えの原因になるという事で、専門コンサルタントを利用するケースも多い。
アメリカ向けのサプリメントの輸出と言っても、成分と完成品では注意すべき内容が違うため、ここではそれぞれの概要を説明する。すでに販売をされているものであれば、使用が許可されている内容成分であるかの確認を行う必要がある。中には類似品であっても合法的でない場合もあるので、販売予定製品に含まれる内容成分が使用可能であるかの確認は必要である。
独自に開発、または新たな機能を訴求する成分の場合、GRAS(一般的に安全と認められた成分)として登録を行うケースと、NDI(新ダイエタリー成分)として効能を証明する選択肢がある。いずれも長所と短所があるうえに、自社独自(または独占)の成果とするためには、戦略的な申請方法を、GRAS申請をはじめとするFDA申請に慣れたコンサルタントと検討する必要がある。
また製品の輸出を行う場合には、内容成分の確認、包装容器の確認、パッケージ表示の確認の三点が主な対応エリアである。これらも日本とは違う規則であるため、米国仕様に作り直すステップは欠かせない。その他に消費者へ訴求するフレーズの制限など、日本からでは対応に苦慮する内容も多いと考えられる。
進出時のサポート
海外進出の中でも規制への対応やビジネス慣習の違いなど、不確かな内容が多くある。これらを自社で対応するとなると、調査や確認に多くの時間がかかり、人件費は膨大になる。さらに、時間を掛けて対応をしても、慣れない海外の規則に対し、確実なコンプライアンスが実施できているのかどうか、結果として自信のないままでは元も子もない。
アメリカ進出を検討する際には、市場性の調査、製品の規制対応、ビジネスプランの構築、現地販売のサポートなど、一貫して相談できるパートナーを持つことが、慣れないビジネスにおいて失敗の可能性を減らすことにつながる。
コンサルタントやビジネスパートナーを探すうえでは、ビジネス経験、費用や専門性だけでなく、担当者の責任感など、自分たちの事業を預けられるほど信頼が築けるかどうかなども採点項目と言える。
米国現地での活動
米国において、サプリメントは小売店での販売や通信販売など様々な方法で販売されている。中小企業の場合、限られた人材と資金力でも、OEM供給や成分の販売など、身の丈に合った事業モデルを選び、進出を果たすことが出来る。公的な支援機関などを利用し、情報収集することも出来るが、自分の目で探すことがその後の事業感を養う上ではお勧めかもしれない。現地の展示会を訪問することも良いが、ターゲット企業へ積極的にアプローチをすることもチャンスを広げることになる。