羅府新報 2015年8月26日号
ひたちなか商工会議所:ロサンゼルス事務所を開設
「ひたちなか商工会議所」が開設した事務所内で記念撮影におさまる来賓と関係者。前列右から堀之内総領事、柳生副会頭、グロービッツ社の春山社長と、ジェトロの吉村所長(後列左から2人目)
茨城県ひたちなか市で、同市の商工業の振興と発展を目的に活動する「ひたちなか商工会議所」は19日、中小企業の米国進出支援と、日本の「ものづくり」の神髄を海外に発信するため、ガーデナ市にあるコンサルティング会社「グロービッツ」社内にロサンゼルス事務所を開設した。同社が米国での窓口となり情報提供や商談相手探しを行い、今後、販路拡大を目指す。【吉田純子、写真も】
来米した同商工会議所の柳生修副会頭をはじめ、同市商工振興課の森山雄彦課長、堀之内秀久・在ロサンゼルス日本国総領事、ジェトロ・ロサンゼルス事務所の吉村佐知子所長、グロービッツ社の春山貴広社長らが出席するなか、同事務所内で開所式典が行われた。
同市は日立製作所の発展とともに、建設機械や自動車の電装品、血液の分析装置など医療分野に至るまで、さまざまな大手企業の製造工場があり、企業城下町として知られている。
式典でテープカッティングをするひたちなか商工会議所の柳生副会頭(左)と堀之内総領事
大手企業の多くは製品の80%以上を海外に輸出しており、同商工会議所はこうした企業との取引を通して、間接的に海外市場をターゲットにこれまでにも事業を進めてきた。
中小企業に関しては、直接海外とのビジネスを展開している事例は少なかったが、近年、海外事業を計画している企業も出てきており、同商工会議所はそうした企業をサポートすることを目的にLA事務所を開設した。
LAを拠点に選んだ理由として、あらゆる産業が集中する米国第2位の都市であり、LA港やロングビーチ港が近く物流の中心にもなっていること、日系人が多くネットワークも広げやすいことなどがあげられる。
同商工会議所の柳生副会頭は「ひたちなか市は名産品のさつま芋を利用した乾燥芋のほか、いちごや鶏卵など、食品に関しても素材には恵まれているが、地域での消費にとどまっている。日本食ブームが海外で浸透していく中、工業ばかりでなく、現地産物を食品に加工して海外に展開できないかと考えている」と話す。
米国には食品や薬品などの法律の施行に携わる食品医薬品局(FDA)などの行政機関があり、規制に関しても日本と違うことから、グロービッツ社がそのノウハウを教え、市場調査や商談のサポートを行い、取引先を開拓していく。
現在、同市内の4社が米国進出に名乗りをあげており、新規に支援対象企業がでてくることが期待されている。来月にも当地で機械関係の展示会が開催されるのを受け、4社のほか、製造業を中心にさらに数社が参加し、米企業の提携先を探す。
これまでにも埼玉県や静岡県などの行政をはじめ、日系企業の米国進出を支援してきたグロービッツ社の春山社長によると、「日本の中小企業が米国で突然米国人を雇い商談に持ち込むのは非常に困難。成功例や失敗例を教え、一社ずつ適切なアドバイスを行い、各社軌道に乗せていきたい」と話した。
羅府新報ウェブサイトはこちら