
GMPeople 1巻4号 平成27年7月号
医療機器におけるFDA査察
株式会社グロービッツ FDAコンサルティング
代表取締役 春山 貴宏(Takahiro Haruyama)
1. 米国の医療機器品質システム
1.1 医療機器品質システム規制(21 CFR Part 820)

医療機器品質システム規定(Quality System Regulation, 以下QSR)とは、製品の品質を一定に保つための管理規定のことであり、ここでは人間用の医療機器の設計、製造、包装、ラベリング、保管、設置、及び付帯サービスに対して使用される方法、施設、及びその管理に対する要求事項のことを定義し、それに基づいて管理する仕組みのことである。FDAでは、このQSRの要求事項が順守されているか判定及び管理を行うために、医療機器施設に対し、扱う医療機器のリスク度合いに応じて定期的な査察を実施している。このパートでは、日ごろの査察に関してFDAとのコミュニケーションを頻繁にとっている弊社として、また、実際の査察現場への立会いを行う業務を行う中から、FDAが何を基準に行っているかと、また、最近の傾向などを説明していく。
米国で販売される医療機器の適正製造規範(Good Manufaturing Practice, 以下GMP) は、1978年にFDAによって公布された。その後、1996年10月に品質システム(Quality System)と呼ばれる規制の最終版が追加され、Quality System Regulation (QSR)として再発行された。その翌年の6月にFDAは、アメリカ合衆国の行政法である連邦規則集21巻820章(21 CFR part 820)の改正版を有効化させることにより、現在のFDA医療機器GMPが形作られた。GMPは、FDAにおいて分野を問わず用いられる品質システムの概念であるが、QSRは医療機器の品質システムである21 CFR part 820のタイトルであり、医療機器分野特有の名称である。なお、"current" GMPという意味でcGMPとも呼ばれている。
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